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精子と卵子が合体して受精すると406本になり、分裂して赤ん坊の体細胞となっていく。 では、23本の染色体では親がもっている全遺伝子のうちの半分しか伝わらないのかといえば、決してそうではなく、遺伝子の種類としては全部が伝わっている。

つまり、もともとヒトの遺伝情報は卵子や精子のもつ23本の染色体にすべて含まれていて、ゲノムなどとも呼ばれるヒト遺伝子セットを形づくっている。 違ういいかたをすれば、ヒトの細胞には、第1組として23本ある染色体によるA遺伝子セットと、第2組としてやはり23本ある別の染色体によるa遺伝子セットがある。
この2組は、1番染色体から212番染色体まではまったく同じ種類の遺伝情報をもっていて、23番目の染色体だけが性を決める染色体として、X染色体だったりY染色体だったりする。 女性では両方の染色体セットとも性染色体はX型で、男性では一方がY型で他方がX型となっている。
ここで、ある両親から生まれる子供が、どんな遺伝形質をもつ可能性があるか考えてみる。 父親がAaという2種類の染色体セットをもち、母親はBbという2種類の染色体セットをもつとしよう。
すると精子としてはAセットをもつものとaセットをもつものの2種類、卵子としてもBセットをもつものとbセットをもつものの2種類ができる。 卵子と精子が受精したときの染色体セットの組み合わせは4種類となるのがわかる。
さて問題となるのは、親が遺伝病の原因となる遺伝子をもっている場合である。 1人の親が1つの病因遺伝子をもっているケースを考えてみよう。
仮にA染色体セットのなかに病因遺伝子が含まれているとすると、AB型とAb型の子供にはその遺伝子が引き継がれる。 しかし、aB型とab型の子供にはまったく影響がないことになる。
また両親とも病因遺伝子をもっていてAとB染色体セットに含まれている場合には、AB、Ab、aB型には伝わるが、ab型の子供には遺伝形質として伝わらないことがわかるだろう。 ひとくちに遺伝病といっても、遺伝子が1つでもあると病気として現われる優性遺伝タイプと、遺伝子が2つないと病気にならない劣性遺伝タイプがある。
また、病因遺伝子がX染色体に乗っている場合には、もう1つのX染色体の遺伝子が正常な女の子なら発症しないケースが多く、もう1つがY染色体である男の子では発症する可能性が高くなってしまう。 このように、ひとまとめに遺伝病とはいっても親から引き継ぐとは限らないうえに、遺伝子を1つもっていても病気とは関係ない場合も珍しくないのである。

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